働くママの日々是修行。
家庭と仕事の両立に悩むママの生活雑感。
2009
November 29
November 29
読書を楽しめるような気分ではなかったので、2冊だけ(笑)。
「がんばれば、幸せになれるよ」 山崎敏子著
小児がんの中で10万人に一人といわれるユーイング肉腫を5歳で発病、その後5度の再発、4度の手術を経て、9年という短い生涯を閉じた山崎直也くん。病床にあっても両親や弟への思いやりを忘れず、辛い治療や苦痛に耐え、生きることを決して諦めなかった。明るく懸命に生き抜いた直也くんが遺した言葉の数々を、母・敏子さんがつづった壮絶な闘病記。
命の危機に晒され、痛みを伴う治療に明け暮れる日々の中で、本当の強さと優しさを育み、急速に成長していく直也くん。
そして、死に向かう子どもを見守り続ける敏子さんの気持ちを思うと、涙が止まらなかった。
たかが肺炎、検査入院でも、毎日子どもを病室に一人残して帰宅するのが辛かったし、夜「ユリはちゃんと眠れているのかな」と胸が痛かった私には、希望の見えない4年の闘病期間の辛さを想像することもできないけれど…。
生まれてきた命は、必ず何がしかの意味を、この世に残すためにあるのだと思う。
直也くんの冥福を、心から祈る。
「北海道警察の冷たい夏~稲葉事件の深層~」 曽我部司著
覚せい剤の使用で現職の警部が逮捕されるという不祥事に揺れた北海道警察。だが事件の深層を知る男たちが不可解な死を遂げ、本当の「悪」はまだ姿を現していない。拳銃摘発の切り札といわれた警部は、なぜ覚せい剤に溺れたのか。取材現場から警察組織の腐敗臭が漂いはじめた―。衝撃のノンフィクション。
道警に知人がいることもあり、地域的にもすごく身近だったにも関わらず、あまり興味を持てないでいた事件だったのだが、会社の本棚からお借りして一気に読み進めたら。
予想以上の内容で、驚いてしまった!
警察や検察が正義に基づき、良心に則って仕事をしているなんて、思ってはいなかったけれど。
自己保身のために、自ら真実を闇に追いやる警察・検察に、人を逮捕し裁く権利などないよね。
人間は誰も欲に支配されて生きていて、自分を満たすために人を傷つけることを厭わない面を持っている。
でも、倫理的・道義的な判断をするために理性も、併せ持っているはずなのにな~。
何より、こういう現実に無関心であることが、一番の罪だと思った。
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2009
November 22
November 22
2009
November 22
November 22
薄っぺらな恋愛小説に食傷気味だった私が、すっかりはまってしまった…。
「すぐそばの彼方」 白石一文著
次期首相の本命と目される大物代議士を父に持つ柴田龍彦。彼は4年前に起こした不祥事の結果、精神に失調をきたし、父の秘書を務めながらも、日々の生活費にさえ事欠く不遇な状況にあった。父の総裁選出馬を契機に、政界の深部に呑み込まれていく彼は、徐々に自分を取り戻し始めるが、再生の過程で人生最大の選択を迫られる…。一度きりの人生で彼が本当に求めていたものとは、果たして何だったのか。
主人公を取り巻く人たちとその関わりに着眼しても、十分面白い作品だったと思うが、私は政治絡みのストーリーに引き込まれた感じ。
恵まれた環境で努力することなく何でも手に入れてきた人特有の弱さに、かなりイライラしたけれど(笑)、久々に自宅でも読み続けるほど引き込まれる作品だったな~。
「僕のなかの壊れていない部分」 白石一文著
出版社に勤務する29歳の「僕」は3人の女性と同時に関係を持ちながら、その誰とも深い繋がりを結ぼうとしない。一方で、自宅には鍵をかけず、行き場のない若者2人を自由に出入りさせていた。常に、生まれてこなければよかった、という絶望感を抱く「僕」は、驚異的な記憶力を持つ。その理由は、彼の得意な過去にあった。
これは、読後感がよろしくなかった。単に、私が主人公にまったく共感できなかったせいだけど。
こういう自分の過去の傷に勝手に囚われて、他人を平気で傷つけたり、踏みつける人の弱さが大嫌いだから。
自分が辛い思いをしたなら、その分他人に優しくある努力をすべきだと私は思っているので、彼に振り回される人たちの台詞にうなづきながら読み進めた感があった。
「私という運命について」 白石一文著
大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬樹亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康との別離後、彼の母親から手紙をもらったことを思い出した亜紀は、2年の年月を経て、その手紙を読むことになり…。女性にとって恋愛、結婚、出産、家族、そして死とは? 一人の女性の29歳から40歳までの揺れる10年を描く。
29歳から40歳。まさに、私の結婚生活と同じ年月ということもあり、集中して読み始めた。
途中からラストは透けて見えていたのだけれど、様々な年齢の時代背景と、その度に自分を振り返り大きな決断を繰り返す主人公の生真面目さや不器用さに心を惹かれて、眠る時間を削って読み進めた。
これは、時間をおいてもう一度読み直してみたい一冊だった。
という感じで、いま白石一文さんにすごくはまっている。
また、探しに行かなくちゃ!
2009
November 15
November 15
病院でユリに付き添っている間に、これらの本を読んでいた。
「赤いコートの女~東京女性ホームレス物語~」 宮下忠子著
様々な事情を抱え、路上生活に堕ちながらも気高く生きる女たち。永くその支援に奔走してきた筆者は、彼女たち一人一人に寄り添いながら自分に何ができるか、社会に何が必要なのかを探ってゆく。等身大に綴られる女性たちの生き様と、それを見守る筆者の温かな眼差しが心に響くノンフィクション。
札幌では女性ホームレスを見かけたことはないが、路上生活を選ぶ女性には男性以上の危険があることは想像に難くない。
物語の主人公になった二人の女性は、運よく路上生活から抜け出すことができたけれど、レイプや望まぬ妊娠という性暴力に晒されながら路上で暮らす女性はまだたくさんいるわけで…。
この不況下、ホームレスはますます増えていくだろうけれど、何とか状況を打開することはできないのかと思う一冊だった。
「でっちあげ~福岡「殺人教師」事件の真相~」 福田ますみ著
「早く死ね、自分で死ね!」2003年6月、全国ではじめて「教師によるいじめ」と認定される事件が福岡で起こった。問題の小学校教師は、担任児童を自殺強要や凄惨な暴力でPTSDによる長期入院に追い込んだとされ、「殺人教師」とまで報じられた。だが後に、この一連の事実は、児童両親による「でっちあげ」だったことが明らかになっていく…。親の言いなりになる学校、妄信するマスコミ、医師、550人もの大弁護団…病める教育現場で起こった驚愕の冤罪劇。
“事実は小悦より奇なり”を、地でいく話だった…。
何のために被害者と言われた男児の両親が、執拗なまでに嘘の供述を繰り返したのか?
裁判で敗訴した後、この両親はどうなったのか。
その後がすごく気になる一冊だった。
「死体があった部屋から見えること」 (株)セントワークス 中岡隆著
凄まじい死臭、蠢くウジ虫、黒い塊と化す銀バエ…。腐乱した死体があった部屋やゴミ屋敷の整理・撤去作業を行う著者が見たものは何か!?きれい事ではない、現代の死の現場をレポートした衝撃作!!
知人のお父様が死後腐乱した状態で発見されたことがあったので、そうした部屋の片づけ等を専門的に行う業者さんの話は非常に興味深く読んだ。
人の死にまつわるのは悲しみだけでなく、人の業や欲だけが現れることもあるのだと、複雑な気持ちになった。
死が身近になったら、自分はきちんと身辺整理をしなければと思った。
「十年不倫の男たち」 衿野未矢著

「悪者扱いしないでほしい」。私生活を語ることの少ない男性たちが、自身の道ならぬ恋について語り始めた。妻の目をまっすぐ見られないほどの罪悪感に苦しみながらも、長く関係を続けるのはなぜか。恋人の将来をどう考えているのか。妻と恋人のどちらをより愛しているのか――。本音と建前の狭間で揺れる複雑な男性心理に迫り、前作『十年不倫』と対をなすノンフィクション!
これは、「十年不倫」を読んでいたので、続編感覚で読んだだけ。
正直なところ、「男って楽でいいよな~」という感想しかない。
女は仕事を持っていたって、お金を稼いでいたって、子どもや親に何かがあれば仕事を犠牲にして看病や介護をしなければならないし、逃げ場もないっていうのに、自分だけはよそに女を作って楽できるなんて!
浮気は別にかまわないけれど、女房を働かせるような甲斐性なしが、何年も不倫するのは絶対に許せないと思った!

「宮﨑勤事件~塗りつぶされたシナリオ~」 一橋文哉著
80年代末の日本を震撼させた連続幼女誘拐殺人事件。「今田勇子」の名で犯行声明まで出した犯人・宮崎勤の狙いは何だったのか。彼は本当に精神を病んでいるのか。事件には、驚くべきストーリーがあった。捜査資料と精神鑑定書の再検討、関係者への粘り強い取材が、裁判でも明らかにされない真相を浮かび上がらせる。事件は終わっていない。今も宮崎勤は自作自演の舞台に立ち続けている。
これは公判が決着する前に書かれたものだったが、非常に面白かった。
結局、何がこの事件を生んだのかがわからないまま、犯人は死刑になったけれど…。
被害者の冥福を心から祈る。
2009
November 08
November 08
付き添い中、読書に勤しんでいる。
「なぜ僕は悪魔と呼ばれた少年を助けようとしたのか」 今枝仁著
死刑か? 無期懲役か?
判決公判直前、光市事件のもう一つの真実。
「復活の儀式」「母胎回帰ストーリー」など荒唐無稽な主張を展開させ、世の中の苛烈なバッシングに晒された光市事件弁護団を解任された弁護士が、事件の真相を衝撃告白。
この著作を読んで、被告が語る真実の一端に触れることができた気がした。
被告の犯した罪が変わることはなく、生育歴を盾に責任逃れとしか思えない主張を繰り返す弁護団に対する不信感は消えないけれど、弁護士として世間に批判されても被告を守ろうとする姿勢は尊敬に値すると思った。
自己保身のため、損害賠償を支払うどころか、面会にも行かず、情状証人として出廷もしない父親を持った被告には同情する。
さまざまな調書を読むと、警察や検察のリードで調書が作られたことも想像に難くない。
だが、被告はきっと生涯反省できないのだろうなと、私は思ってしまった。
被告の心を育てなおす人間が、彼の周囲にいるとは思えないから。
哀しい事件だと、改めて思った。
「もしも、私があなただったら」 白石一文著
会社を辞めて故郷の博多に戻り、何かに追い立てられるように暮らしてきた男、藤川啓吾。
彼の前に、突然かつての同僚の妻・美奈が現われて言った。「藤川さんの子どもを産みたいんです」。
啓吾は東京を離れる折りにも美奈に思いを打ち明けられ、にべもなく断っていた。
時を隔てて再会し、やがて確かに心を通わせ共に過ごす二人。制約のない「大人の恋愛」を描く。
最近重めの本が続いていたので、久々に恋愛小説を読んでみた。
白石さん…。すごく好き。お勧めだ!
40歳を過ぎての恋愛は、決して美しくはない。
お互いに思い何かを抱えているし、譲れないことが増えているし。
でも、生き直してみたいと思える相手と出会えたなら、何を失っても走りたくなるんだろうな~と思った。
まだ、いまならやり直せるかもしれないと思える、ギリギリの年齢なんだろう。
立場が違えば、同じ出来事の当事者であっても、それぞれが思う真実は違う。
だから何が起こっても客観的に、自分を傷つける相手であってもその心情を汲もうと努力すべきだと、改めて考えさせられた。
私自身、ものの見方をもっとワイドにしていかないとね
