働くママの日々是修行。
家庭と仕事の両立に悩むママの生活雑感。
June 21
先週はずっと、ノンフィクション三昧
まず、 「警察回り」 本田靖春著。
昭和33年、読売新聞社会部の警察回り記者だった著者。当時、警察回り記者のたまり場だったトリス・バー「素娥」のマダムであるバアさんを軸に展開する、豪傑たちの逸話の数々を中心に、「人間が人間として生きていた時代」である昭和33年代の東京を描いた回顧録。
以前、この著者の「誘拐」を読んでいて、非常に面白かったので、タイトルに惹かれて購入したけれど。
内容は面白かったけど、読みにくい構成だったし、バアさんの人生の振り返りより、もっと記者仲間のエピソードが読みたかったかな~。
けれど、「世俗的な成功より内なる言論の自由を守り切る方が重要であった」と言い切る記者魂に感動したし、現在のマスコミ報道を見ているからこそ、古き良き時代を受け継ぐ記者にがんばってほしいと強く思った。
そして、 「なぜ君は絶望と闘えたのか~本村洋の3300日~」 門田隆将著。
最愛の妻子が殺害されたあの日から、9年。妻子を殺された深い哀しみの中、幾度となく司法の厚い壁に跳ね返され、なおも敢然と挑んだ青年。だが、それは決して孤高の闘いではなかった。絶望の海を彷徨う青年の陰には、彼を励まし、支えた人たちがいた。そして、青年との闘いの末に「死刑判決」を受けた元少年が判決翌朝、筆者に伝えた意外な言葉とは――。光市母子殺害事件を圧倒的な取材と秘話で綴った感動と衝撃の記録。
この事件については、裁判の経過も、本村さんの闘いも、常に注目してきた。
ようやくこの本を読むことができて…。私はもっぱら通勤時間や移動時間に読書するのだが、車中で涙ぐみながら読み進めた。
私は「死刑」は必要な制度だと思っている。
終身刑も、受刑者の更生プログラムも、出所後の性犯罪者に対する情報公開制度もない現在の日本では、必要な制度だ。
怨恨や過失、事故などの場合は、情状酌量されるのはやぶさかでない。
けれど、強盗、強姦、通り魔など、自分の欲求を満たすための殺人に、情状酌量の余地はなくていい。
どんな劣悪な環境で育とうと、一生罪を犯さずに生きている人の方が圧倒的に多いのだ。
まして、少年法をたてに加害者だけが守られる、現行の法律はおかしい。
だから、殺人を犯した少年が損害賠償を一切支払うこともなく、のうのうと弁護士として働くという現実が起こるのだ。
私はこの事件の加害者少年だった犯人に、真人間になって死んでもらいたい。
死刑という現実がなければ、悔悛できないと思うから。
そして司法関係者には、お役所仕事ではなく、良心を持って、おかしな法律は素直に改正する柔軟さを持ち合わせてほしいと切に願う。
控訴・上告のために判例にとらわれることなく、正義を持って闘った検事さんや、それをサポートするために執念の捜査を続けた捜査班のみなさんの存在があると考えれば、まだまだ日本は捨てたものじゃないのだなと思える。
被害者の冥福を、心から祈る。
最後は、 「桶川ストーカー殺人事件ー遺言」 清水潔著。
一人の週刊誌記者は、殺人犯を捜しあて、警察の腐敗を暴いた…。埼玉県の桶川駅前で白昼起こった女子大生猪野詩織さん殺害事件。彼女の悲痛な「遺言」は、迷宮入りが囁かれるなか、警察とマスコミにより歪められるかに見えた。だがその遺言を信じ、執念の取材を続けた記者がたどり着いた意外な事件の真相、警察の闇とは…。
この事件に関する書籍はそれなりに読んでいるつもりだったのだが、これは未読だった。
いま、昭和の刑事さんや記者さんにまつわる著書を読みつづけているせいか、現在の警察の腐敗、意識の低い大手マスコミに対して、人間の命にかかわる仕事をしているというプロ意識を持てないで、職務を全うできるのかと問いたいと強く思った。
警察が自分たちの不手際を隠ぺいするために作為的に流した情報。それを鵜呑みにして被害者を侮辱し続ける大手マスコミ。
発言の場を持たない被害者遺族やその友人たちは、何度それらの人たちに心を殺されたのだろう。
警察や検察がミスリードすることで、真実は簡単に歪められる。
そうした現実は、後を絶たないのだ。
私たちは、日々垂れ流されている情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、何が真実なのかを考え、見極める力を持たなければいけないと思う。
ノンフィクションばかり読んでいると、世の中に対する疑問が次から次へと溢れてくる。
人にはそれぞれ考えがあって、私の意見にも賛否両論あるだろう。
でも大事なのは、自分なりの意見を持つことにあるのだ。
それが信念であり、生き方につながると思うから…。
